屏風(びょうぶ)とは、紙の番(つがい)や金具の蝶番・紐によって、谷折り・山折りに、2枚折から8枚折〜と繋がって自立することができる、部屋の間仕切りや装飾に用いられる調度品です。襖(ふすま)のように、敷居溝・鴨居溝が無い空間でも、扇のように広げたりすることができ、風を塞ぎ、視界を遮ることもできます。
茶会に供する風炉先屏風は、茶人の好みを表す欠かせないひとつの道具として、茶室空間の格を上げ、引き締めます。表面には、本鳥の子紙から、金砂子、江戸からかみ・京からかみといった、装飾性の高い和紙が施されているものも多数存在します。

屏風各部の名称

《屏風各部の名称》
《屏風各部の名称》

現代では、ホテルの披露宴会場や慶事に供する席の背後に、6枚折り・8枚折りといった金屏風が広げられ、手前の人物等を引き立たせ、空間・時間により華やかな印象を与える役割でも広く活用されています。 また欧米のインテリア雑誌にも、間仕切り(パーテーション)として使われている屏風を見ることができます。

絵画(平面作品)をダイナミックに表現する屏風

掛軸(軸装)や額装の本紙(作品)にあたる絵画は平面ですが、例えば背の高い屏風に書画・絵画が施されることにより、より動きのあるダイナミックな表現として見せることができるのも屏風の魅力です。
現在では日本だけでなく、多数の海外アーティストも屏風をひとつのキャンバスとして積極採用し、日本古来の屏風を通じて表現の幅を広げています。

第62回表装内装作品展(2019.5)
第62回表装内装作品展(2019.5)作家:長澤耕平
第65回表装内装作品展(2022.6)
第65回表装内装作品展(2022.6)

伝統的な技術又は技法

  1. 屏風、額、襖及び衝立にあっては、次の技術又は技法によること。
    1. 下張りは、「骨縛り」、「ベタ貼り」、「蓑張り」、「蓑押え」、「回りすき」、及び「袋張り」によること。
    2. 屏風の蝶番は、「羽根付け」によること。
    3. 仕上げの張り込みは、「上張り」によること。

経済産業省伝統的工芸品指定の告示より)

江戸表具を新規に作成なさる際や、お使いの表具類を作り替えられる際には、是非伝統的な技術・技法、良き素材のものを用いていただけることを願います。
その施工には江戸表具を継承する東京表具経師内装文化協会の表具師(会員)に、ご用命いただければ幸いです。
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